「いいたて雪っ娘」の魅力を語らう! − 生産者×料理人のかぼちゃ座談会 −

いいたて雪っ娘の魅力を多くの方に発信する”いいたて雪っ娘公式アンバサダー”として、
自身がオーナーを務める弁当店『廣田 真之坊』で、数々の料理に雪っ娘を使う料理人・猿渡浩之さん。

2015年と2016年に開催した『いいたて雪っ娘大収穫祭』の中で、按田優子さんとのフードユニット”Andend”が手がけた料理の数々は、想像の遥か上を行くルックスで姿を現し、そのおいしさは老若男女問わず来場者から絶賛を受けました。

「雪っ娘やかぼちゃについて、もっと色々な話を二人から聞いてみたい」

そんな生産者の渡邊とみ子さんの願いもあって、いいたて雪っ娘の魅力を語らう座談会を開催。プロの料理人から見た雪っ娘の印象と、生産者としての雪っ娘への思いが交わり、数え切れないほどに『かぼちゃ』の言葉に満ち溢れた座談会の始まりです。

【参加者プロフィール】
■猿渡浩之
大阪辻調理師専門学校を卒業後、都内ホテル等を経て会員制高級薬膳レストランの総料理長に就任。その後、本来の食の楽しみを模索・追求すべく、築地市場内の食堂を経て1997年に独立。現在は、完全予約制の料理店「田園調布 廣田」、完全予約制の宅配弁当店「廣田 真之坊」を経営。「ぜいたくな食材を無理なく楽しむ」「身近な食材で驚くほどの豪華さを作り上げる」といったテーマに基づくお任せスタイルの料理が、多くのファンを魅了。信念を曲げず真摯に食材に向き合う姿勢が、現役の料理人からの支持も高い「シェフの中のシェフ」。


■按田優子
東京都生まれ。東洋大学文学部哲学科卒業・大学在学中からパンとお菓子の製造のアルバイトをし、卒業後そのまま就職。工房長・カフェ店長などを経て2011年に独立。現在は代々木上原「按田餃子」の店主。気候がもたらす特長を活かした保存食研究家の顔も持つ。著書に『男前ぼうろとシンデレラビスコッティ』『冷蔵庫いらずのレシピ』など。

【かぼちゃの長所に逆らうことなく、感じたままに】

ーー去年、一昨年とお二方が収穫祭でプロデュースした料理が、完成するまでの経緯を教えてください。

猿渡:イベントの料理ということで提供しやすく、しかも一皿でお腹いっぱいになるという決め事もあって、最初の年はカレーを作ることにしました。渡邊さんが販売している雪っ娘が入ったレトルトパックのカレーを食べて、もっと、かぼちゃの個性をストレートに伝えるカレーにすると面白いかなって思ったんです。

※左がペーストやクッキーとの組み合わせを楽しむ、重厚感のあるビーフベースのカレーと、グリルした雪っ娘と、あんかけのように滑らかな口当たりのチキンベースのカレーを、合掛けにした特製カレー。中央の細切り雪っ娘には同じ太さにしたしょうがが効いてます。右が雪っ娘のブロックとココナッツミルクを組み合わせた、特製ココナッツミルクドリンク。

猿渡:完成品ではライスの上にある大きなクッキーも、元々は単体のお菓子として食べることをイメージして「ガリッとした食感のアメリカっぽいクッキー作れない?」って按田さんに提案したんです。でも、その後アイデア出しをしているうちに「カレーに刺したほうがいいんじゃないか?」という結論に。

按田:クッキー生地に練り込むのが雪っ娘のパウダーなら、たっぷり入れてガリッとしたクッキーを作ることができるのですが、雪っ娘のピューレを入れると水分が多くて、ガリガリとした強めの食感にならないんです。それならピューレの水分を使って、クラッカーみたいにしたほうがたっぷり使えるなって。

猿渡:そうそう。で、それだったらカレーに立てちゃえ!って。

渡邊:あれは斬新なカレーでしたね。

按田:斬新でしたよね(笑)。

猿渡:雪っ娘のピューレがかかっている側の黒っぽいビーフカレー。あれはレトルトで売れるカレーをイメージして作ったんです。鮮やかなピューレが別添えになってて、お客さんが自分のタイミングで食べる時にギュッとまとめる形にまとめれば、色合いも盛り付けもカッコイイし、来客時のメニューとしても手軽に出せる。もちろん、食べればソースに混ざりすぎることなく、かぼちゃ単独の味がしっかり感じる。今でも、あのカレーの完成度は高かったと確信を持っています。

渡邊:お客さんの評判も、すごく高かったんですよ。

猿渡:二年目はアプローチを変えて「この料理に入れられるんじゃない?」という考え方で進めようと。で、基本的には全部按田さんに任せていました(笑)。
元々は「按田餃子なんだから餃子をやろうよ」ってことで、主役は餃子。肉まんはおまけだったんです。皮に練り込むとか粉に混ぜ合わせるといった使い方は、彼女のインスピレーションや著作(注:「男前ぼうろとシンデレラビスコッティ」)を参考に作り上げました。

ーー按田さんとしては、餃子や肉まんの皮に雪っ娘のペーストを練り込むことで、かぼちゃの長所を引き出だすのがベストとお考えになったのですか?

按田:ですね。特に肉まんを作ろうと思ったきっかけは、南米ペルーの中華屋さんで食べた肉まんなんです。すごくみんなが並んで買っているんですけど、その店、他の物は美味しくないんです(笑)。そこにはゆで卵が入っていたんですが、雪っ娘を使うだったらその代わりにカボチャを入れられるなぁって。

猿渡:雪っ娘は甘さがものすごく強いかぼちゃではないので、餡にかぼちゃを入れるだけじゃなく、色でもかぼちゃの長所を出そうと。肉まんは、按田さんが最初にプロトタイプを作ってくれるまでは、話だけ聞いていた自分は「何それ!?」って感じでした。イメージを聞いているうちに「美味そう!」って思って、一つ作ってもらったら「なにこれ旨い!これで商売できる!」って思いました(笑)。

渡邊:餡に黒糖も角切りの豚肉も入っていて、組み合わせがすごいなぁって。おかわりしたお客さんもいました。

左から雪っ娘を練り込んだ皮で、豚肉とセロリの餡を包んだ水餃子、断面の迫力とやさしいおいしさのギャップが魅力の肉まん、雪っ娘を練り込んだ生地で牛肉を挟んだサブレと、雪っ娘のペーストとココナッツミルクをブレンドした、二代目・特製ココナッツミルク。

【プロにとっての「かぼちゃ」の存在感】

ーーそもそも、お二人にとって「かぼちゃ」という食材はどのような存在でしょうか?

猿渡:実はかぼちゃって料理人にとって、なかなか主役にすることがない素材。僕達がやったのは「かぼちゃを主役に据えた料理」というお題に対する答えなんです。今、世の中には色々な特長のあるかぼちゃがある中で、自分が雪っ娘に感じた特長は「色」と「煮崩れない硬さ」でした。収穫祭の料理でもこの点を前面に出すことで主役に据えたいなって。

ーーなかなか、料理の中でかぼちゃを主役にするのは難しい?

按田:自分の中でもそうした料理を考える機会は少ないですね。収穫祭やハロウィンのようなイベントじゃなければ、メインに据えるのは難しいなぁって。

ーー作っている渡邊さんにとって、かぼちゃは主役として使われるイメージで栽培しているのでしょうか?それとも、薬味野菜のように主役ではなく使われるイメージですか?

渡邊:もちろん生産者としては主役として使われるイメージで作っていますが、確かにかぼちゃが主役になる料理って、そんなに多くないですよね。雪っ娘を栽培する前のことを思えば、サラダにしたり煮っころがしにしたり。

猿渡:そういった使い方になりますよね。あとはホクホク感を楽しむためにグラタンにしたり、かぼちゃのペーストをプリンに入れたり。特にお菓子の場合は、かぼちゃを使うと決めた次に、加糖することで甘くするか?という話になってしまいます。

ーー料理人の方にとっては、そうした素材の個性を出すことにこだわりを持つほうが、料理を組み立てやすいものですか?

猿渡:雪っ娘みたいに「色がキレイ」とか「調理加工をしても硬さが残る」という長所がある場合には、例えばリゾットに使うとかぼちゃを潰さない限りは果肉が残って、食べたら果肉が米にも溶け込んでる部分もわかるんです。そうしたかぼちゃがある場合には、「これを使って料理を作ってください」といったお題を踏まえて、他の人にないものを作るという感じになりますね。

ーーなるほど。そんな猿渡さんが一番好きなかぼちゃの料理は?

猿渡:一番好きなのは、薄くカットしたかぼちゃの天ぷらです。天ぷら屋さんで海老とかを食べて、タンパク質は食べたくないなぁっていう時に、「かぼちゃでよくない?」ってなる感じがいいなと。

ーー一方、按田さんにとって、そもそも「かぼちゃ」ってどんな存在ですか?

按田:料理に携わってからは、今回のようにかぼちゃをしっかりと使ったことがなかったんです。お菓子作りでパウダーを使ったことはあったのですが。

ーー小さい頃のかぼちゃの思い出は?

按田:あまり味付けをしたかぼちゃ料理を食べてこなかったですね。子供の頃は家でかぼちゃのポタージュはよく食べていたのですが、それ以上に蒸してピューレにする前の味が付いてないものばっかり食べてました。あと、いとこ煮とかを体質改善のために食べていて、それも塩とあずきと昆布だけ。かぼちゃの味が強く感じるものばかりでした。

ーー海外に出かけることが多い按田さんですが、海外で食べられているかぼちゃは、雪っ娘と違ってどのような特長を持っているのでしょう?

按田:日本のかぼちゃみたいにホクホクしてなくて、そのままピクルス液に漬けて食べるようなコリコリ系が多いですね。あとは動物のモツとかぼちゃを煮込んでスープにして食べたり。香りもどちらかといえば瓜臭い感じです。

ーーコリコリ系が多く果肉が硬いという意味では、雪っ娘には外国のかぼちゃと似ている部分があるのでしょうか?

按田:外国のかぼちゃのほうが水っぽくて、ガリガリっていう食感なんです。雪っ娘に対する私の第一印象は「ポクポク」してるというものだったので、硬さが残るといっても意味が違うんです。

ーー日本のかぼちゃらしい質感を強く感じられたようですね。このかぼちゃはあまり甘さを強調してないことも特長の一つとして挙げられるのですが、その点での使い勝手の良さとかは感じられましたか?

按田:そうですね。私自身あまり甘すぎる野菜が好きじゃないので、だから肉まんとか餃子とかにもゴロっと入れたいなぁって。ただ「テーマがあってのかぼちゃ」なので、使い勝手というよりもいただいたお題があって使うような。「イベントの場で出す料理」とかのお題に対応させる上で「こういうシチュエーションだから、こういう感じに対応させて…」と頭の中でイメージを膨らませた上で使い方を考えますね。

【育ての親が目指した「雪っ娘」の理想の姿】

ーーところで、猿渡さんが果肉以外に「これは料理に使えば面白いかも」と思った、雪っ娘のパーツとかございますか?

猿渡:小さい実のところ、雌花ですね。見た目もかわいいし。

渡邊:あれは受粉させた時にポロッと落っこっちゃって、それを食べてみたらおいしかったんです。以前に猿渡さんに食べてもらったときも、「おいしい」っていう話になりましたね。

猿渡:あれはレストランユースに使えると思いますよ。

ーー海外ではかぼちゃの花は食べないんですか?

按田:食べなかったですね…。

渡邊:やっぱり苦味があるので。天ぷらにする方もいるけど。

猿渡:あと、弦もかわいいですね。あれも料理人が好きなんじゃないかなぁって思います。

ーー今後、雪っ娘の味が劇的に変わったとした場合、お二人にとってそれは、あまりいいことではないのでしょうか?

按田:他の野菜も含めて、「こういう使い勝手の野菜があればいいのに」と考えることがないんです。野菜は土が変われば違うものになるので、その個体差を無理やり自分のストライクゾーンに持っていくことではなく、来たボールにいかに対応するかを大切にしています。

私は、雪っ娘というボールの良さは、冬の時期の国産が終わる時期でも長持ちすることにフォーカスしたことが一番だと思うんです。

猿渡:自分も野菜に対してこうあって欲しいと思ったことはないです。逆にこちらが選ぶんですよ。「あれないの?」「ない」ってなったら、その日はその料理は作らない。売ってる場所がスーパーであっても道の駅で見つけた野菜であっても、使うものは使う。こだわるのは販路や個体の変化よりも鮮度。劣化が早いのは野菜が一番だと思うので。

ただ、ある時に「自分は雪っ娘を色で使ってるんだな。食べ比べたらすっきりしてて、いわゆるホクホクした感じとかぼちゃ臭さが薄いからなんだな」って感じました。その部分は変わってほしくないですね。

渡邊:ですね、かぼちゃ臭さが薄いという点は重視しています。採れたばっかりの時にはホクホクしていて、だんだんと糖化していくのですっきりしていくんです。

ーー収穫から熟成するに連れて、特長が変化していくのを考えると、料理人さん自身が考えるベストなタイミングで、雪っ娘を使ってもらうのが理想的ですね。

渡邊:そうですね。

ーー逆に生産者の立場から、飲食店の注文に味や色などを寄せることもあるのでしょうか?

渡邊:今まではそこまで料理店との繋がりがなかったので、そういうのはないですね。

ーーそういった時代から今まで、雪っ娘の基本的な特長は変わってないということですね。元々、雪っ娘が目指したかぼちゃの理想形は、どういったものだったのでしょうか?

渡邊:一番が保存性で、食味が二番。色は三番目でした。色については加工した後に見栄えがしたほうがいいと思って重視しました。皮が厚いと加工に使える部分も少なくなってしまうので、徹底的に薄くすることを目指して、育種者の菅野元一さんに品種改良の注文をしました。ただ、保存性の向上と皮を薄くすることは、品種改良において相反する要素なので、今もそこには改善の余地があります。

あと、生まれ故郷の飯舘村じゃなく福島市で育てていると、土壌の違いもあって一ヶ月ぐらい生育期間が違うんです。福島市のほうが早くて飯舘村のほうがじっくり育てられます。収穫も以前は11月第一週ぐらいでした。暑い福島と涼しい飯舘とで気温も4〜5度ぐらい違うことも影響していると想います。飯舘村にある畑は標高450メートルぐらいなので。

按田:ということは、その土地に合わせて違う種を使ってるのですか?

渡邊:種は同じ物を使っています。かぼちゃの茎に縦スジと横筋が出ると収穫の合図なのですが、思った以上に早く完熟するので当初は時期の違いに悩んでました。

ーーその対策は何か施されたんですか?

渡邊:まずは種を蒔く時期を少し後にしたりしてます。福島市にある畑は雑草の勢いが強くて、飯舘村の畑はかぼちゃの苗の勢いが強い。こまめな手入れだけではない雑草対策もあって、そこが難しいところですね。ただ、2017年4月から飯舘村で実証栽培をするので、福島市との比較もできます。

ーー保存性といえば、按田さんは保存食研究家の顔もお持ちですが、かぼちゃを保存食のテーマにしたことは?

按田:昔、干し芋みたいにしたことはあるんですけど、そこまでしなくても雪っ娘は丸のまんま保存できるのがいいですね。

ーー生まれたままで保存食みたいな(笑)

按田:ワタを取ってそのあたりに置いておけば大丈夫って、いいですよね。

ーー使う時期も2月にもベストな状態で使えるのは、料理人にとっては色々利便性があると思うのですが、保存性向上を主眼に置いたのは、やはりこの時期は海外産が多いことが理由だったのですか?

渡邊:そうですね。冬でも国産かぼちゃがあればと思って、保存性を高めることを一番優先してましたね。

あとは形については切りやすさを念頭に置いてます。あまりラグビーボールみたいだと切りにくいですし。理想的なかぼちゃに近づけるために、栽培時にかぼちゃに対して五段階評価の通信簿を付けています。皮の色、形、大きさ、果肉の色、肉の厚さ、種の色、皮の薄さ。そういうのを全部評価して翌年度以降の栽培に活かしてます。

ーー現在は元々果樹園だった畑で作られていますが、土の違いで出来上がりに違いは感じられますか?

渡邊:避難してから栽培している福島市の畑は元々、ずっとほったらかしにされていた土地だったので、最初にかぼちゃにいい肥料を与えないとダメなんです。飯舘村では堆肥とか色々有機のものを使っていて、肥沃でフカフカしていたので土の違いは大きいと感じます。ただ、味に苦味が残るので化学肥料は今も絶対に使いません。

ーー育ての親である渡邊さん自身が、雪っ娘のコンディションを確かめる目的も含めて、よく作られている料理は?

渡邊:天ぷらとかぼちゃサラダですね。あと、いとこ煮は冬至の供え物として年に1回は作ります。昔のかぼちゃって冬至の時期に食べてもあまり美味しくないタイミングなので、その時期のかぼちゃを小豆と一緒に甘く炊いていたという話は聞いたことがあります。

元々、飯舘村は冷害で米が採れない年もあったんです。それもあってかぼちゃとじゃがいもは主食なんです。育種家の菅野元一先生は、そこに着目して品種改良を始めたんです。今は米がいつでも入手できるから状況は変わりましたが。

【課題と希望、雪っ娘が迎える未来】

ーーこれからの生産に向けての課題は?

渡邊:やはり土ですね。まだ納得がいく土じゃないんです。例えば雑草も「アレチウリ」が出るとダメなので出たら抜いての繰り返し。除草剤を使わないので手数が多くて大変ですね。あと、前に使っていた畑は雨が降れば数日間入れなかったりもしました。

避難先である福島市で種を継ぐ上では、それが一番大変なんです。飯舘の実証栽培も土をやり直すところから始めるので、何年かかるかわからないんです。

猿渡:将来は、飯舘村に戻られるんですか?

渡邊:今は完全には戻れないですね。ただ、畑は自分のものなので手入れをしなきゃいけなくて。

ーー2017年は何トンほど栽培される予定ですか?

渡邊:3トンですね。

ーーさっき、料理人さん目線のお話を伺って、新芽や花とかも使いたいという方向けに専用のレーンがあるといいのではと思ったのですが?

渡邊:あ、それいいですね。

猿渡:自分もそうだったんですが、実際に見に行って初めて「え!それ捨てちゃうの!勿体無い!!」っていう気づきが生まれたんです。そういった新芽や花を、いわゆる六次化加工品の対象にするのもいいと思います。

ーー六次化加工といえば、お二方から見ていいたて雪っ娘の加工品にはどのようなラインナップがあるといいと思いますか?

按田:やっぱり味付けがされてないピューレが一番です。味付けは自分でやりたい一方で、この味だけでも十分においしいですし。

渡邊:私自身はパウダーにして、アイスクリームやうどんの生地に入れたりするのがいいのかなって。

猿渡:パウダーはあるとうれしいですね。

按田:封を開けた後に保管がしやすいかったり、菓子や生地に使う上でも配合の調節もしやすいですし。でも、ピューレにすると香りがしっかり出るので、私はそれが一番ですね。

ーーピューレを使って雪っ娘餃子を出すことも可能に?

按田:オペレーションとしても作りやすいので、それだったらいいですね。

渡邊:シフォンケーキ作っている人に160グラムで真空にしたり、100グラム以上であればオーダーに応じた加工も手掛けているんです。生産とピューレのような中間加工でやっていったほうが効率がいいと考えています。

ーー最後に、お二方とも小さい頃はそんなにかぼちゃが好きじゃなかったとありましたが、もしも小さい頃に雪っ娘があれば、変わっていたかもしれないですか?

猿渡:かぼちゃを使った料理の選択肢が少ない時代なので環境が違うんです。当時は甘かったり辛かったり、調理が限られていたので好きになるような料理がなかったんです。ただ、今の子はプリンとか好きな料理に接することができるので、好きになる子も増えるでしょうね。

按田:入口がアイスとかプリンのようなごちそうから入っていくと、「かぼちゃ好き!」っていう話になって、そこで雪っ娘に出会うと子供の印象に強く残ると思うんです。思えば「かぼちゃパンツ」のように芋臭いものだったのが、今は洗練されている時代ですし。

猿渡:今の時代、かぼちゃは「パンプキン」ですから(笑)。

かぼちゃを介して生まれた3人の繋がり。それは生産者が貫く思いに対する共感。その輪がもっと広がることで、雪っ娘を支える環境は一層成熟していくはず。そんなかぼちゃであって欲しいと、願わずにいられません。

進行/撮影/執筆:坂本貴秀(Local-Fooddesign

【店舗情報】
按田餃子
住所:〒151-0066 東京都渋谷区西原3-21-2
電話番号:03-3504-1555
営業時間:11:30〜23:00(L.O. 22:30)
定休日:火曜日
Instagram:https://www.instagram.com/andagyoza/
Facebook:https://www.facebook.com/按田餃子-267908009895198/