「いいたて雪っ娘」の驚くべき特性と魅力
全国各地で様々な野菜に触れてきた「いいたて雪っ娘公式アンバサダー」の廣本直樹さん。その経験をもってしても、いいたて雪っ娘に触れた瞬間に感じたドキドキは、今までになかったものだそうです。
そんな驚きの体験を通して、雪っ娘が持つ4つの特性と魅力を廣本さんがご紹介いたします。
日本中のかぼちゃを現場で知っていて、たいていのかぼちゃは現場でいろいろ試してお客様にも楽しんでもらった。
ただ、いいたて雪っ娘かぼちゃには、たくさんの新しい発見の連続があってドキドキしっぱなし。その独特の特性を実体験で紹介します。
1.感触~包丁を入れた時、目と耳と鼻に突き刺さる感触に驚く
手に取ると、見た目よりもしっかりと重さのあるこのかぼちゃ、これは相当中身詰まってるな、と直感でわかった。
固いんだろうな、て思って、ある程度の強さで包丁の刃を入れた瞬間に、何とも言えない感触が手元に伝わってきた。
包丁の刃ははじめ固くて、刃を少し進めるとといきなりブブブって音を立てていきなり割れるような劇音。これは糖分がしっかり含まれた果肉にありがちな肉質特性である。そして断面はギザギザときれいでない。これもポイント。
果肉の色。これがすごい。北海道のブランドフルーツの夕張メロンのそのまんま。皮のキワまでぎっしりオレンジ色。そして緑の部分がかぎりなく薄い!いままでに見たことのない断面の美しさ。
香り。包丁を入れた瞬間から、メロンともすいかとも、何とも言えない少し甘い香りがたちこめた。若いかぼちゃからウリ臭がしてくるのは経験があるが、熟成したかぼちゃからこんなに香りがたつものなのだろうか?
2.生で食べる~スライスしてみた。これはサラダに使える
たいていの食材は、まず生で確かめるのは語り部ひろもとの習性。生で味わったスペックから、その野菜のポテンシャルを推測し、ベストな食べ方や調理法を考えます。
いいたて雪っ娘を1mmスライスしてみる。しかも皮ごと。そしてそれをかじった瞬間に
「粉っぽくない」
と思わず口に出してしまった。そして何度もかみしめてまた出てきた言葉が
「甘い」
そう。しっとりとしていて、微妙に甘い。
生でも食べられるかぼちゃはいくつか種類があるが、どちらかといえば同じ西洋種の「鈴成」という品種と同じカテゴリーに入る。正統派のかぼちゃテイスト。
ただしいいたて雪っ娘に関しては、断面のオレンジ色の美しさと、ミニサイズの鈴成とは違うダイナミックさで飾りとしても、サラダのパーツとして存在感を出しそうだ。
3.加熱して食べる~ワタを外し、蒸してみる、さらに驚く
生でこれだけのスペックをもっていて、加熱するとどうなるんだろう。早くもドキドキしてくる。
まずはワタ(種とその周りの果肉の繊維部分)をスプーンで外そうとすると、びっくり。
果肉からの外しやすさと種の部分の少なさ。通常の南瓜は繊維がしっかりあるものだが、いいたて雪っ娘は繊維の感触がほとんどないのだ。
出来上がり。期待通り、どころかすごいものに化けていた。
まんま、羊羹なのだ。他に見当たる言葉がない。
果肉をペーストにするために皮を外すのだが、この皮を外す作業で刃物が要らないのだ。皮離れがあまりにも良すぎる。
食べてみる。これはもう食べてもらったらわかると思うのであえて言わない。
生であれだけのパフォーマンスなのである。ちなみに語り部ひろもとはその場で3切れ食べてしまった。
ちなみに語り部ひろもとのおすすめは「蒸し」である。
4.超熟成~かぼちゃの流通といいたて雪っ娘かぼちゃの関係
日本国内のかぼちゃの流通カレンダーは、ほぼ一年中。
ただしそれは熱帯の国々や季節が裏返る南半球の国々から輸入されるもので補完されいてるため、一般レベルでは実感がわかないが、かぼちゃはウリ科植物であるがために、夏期にしか栽培ができない。ほぼスイカと同じ生育ステージをたどる野菜なのだ。
南は沖縄から、北は北海道まで。まるで桜前線が北上するかの如く収穫時期が半年にまたがり移動する。その時期は各産地ごとでは短いものなのだ。いいたて雪っ娘かぼちゃは、日本の標準的な気候帯では、おおまかに5月の定稙、9月の収穫となる。
ただし、収穫して即食べるものではないのがかぼちゃという野菜。
水分を飛ばすため、さらに自身が含んだでんぷん質が自己変化を起こして糖質が発生する「熟成」のために、農家さんの元で「風乾」という予措(よそ)作業を経てから、初めて食べる側に廻るのである。
風乾が不十分なかぼちゃほど残念なものはない。夏場に残念なかぼちゃに当たった方が多いのはこのため。さらにいうならばかぼちゃの旬は「秋」と答えるエンドユーザーが多数いるのも、熟成したおいしいかぼちゃの時期が10月中旬から下旬だからなのだ。
その期間を過ぎると、一般のかぼちゃは傷み(腐敗)との戦いになる。「冬至にかぼちゃを食べると長生きする」という古い言葉が意味するものは、冬至のころに無事に保管できたかぼちゃが少なく貴重品だったこともある。
さて、いいたて雪っ娘については実は冬至どころか、2月までもたせることが可能なのだ。
その秘密はかぼちゃそのものが持つ力。もちろん栽培環境や栽培方法によってばらつきがあるのは否めないが、8月や9月に食べてしまいたい、せっかちなユーザーにはあまり期待に応えられないが、年越しをしてさらに味が進化していく楽しみがあるのだ。
作れるものが限られてくる、冬の間の生産者の換金作物として、いいたて雪っ娘は生産サイドから見てもうれしい野菜なのだ。
TEXT/PHOTO 廣本直樹(いいたて雪っ娘公式アンバサダー/野菜の語り部研究所代表)